第1回では「つよインク」の色あせにつよい秘密を紹介した。今回は、従来課題であった顔料インクにおける光沢感と発色性をいかに高め、顔料インクでの写
真画質を実現したのか、「つよインク」顔料インクの秘密を紹介する。
高い光沢と美しい発色の秘密
<写真画質を実現…高密度化樹脂とグロスオプティマイザ>
写真画質の光沢を得るために必要なのは、印刷表面をいかに平らにできるかだ。表面に色材粒子が残る顔料インクの場合、ほんのわずかだが表面に凸凹ができ
てしまう。これをどれだけ平らにできるかが、重要な課題だった。
さらに、色材粒子をしっかりと用紙に安定して付着させるか、という難題も開発者たちを悩ませた。もともと色材は水をはじく性質をもっており、何も加工し
なければ紙の上に砂を撒いたように、すぐにさらさらとはがれて落ちてしまう。それを落ちないようにするためには、色材を水のような液体のなかに混ぜて紙に
付くようにし、さらに乾いてもはがれ落ちない工夫をしなければならない。つまり用紙の印刷表面を平らに保ちながら、なおかつ色材粒子と水分との親和性を高
められるかが求められた。
8色顔料を使って印刷
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7色顔料を使って印刷
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《第8番目のインク開発》
「つよインク」の顔料インクでは、「つよインク編(1)」でも解説したが、色材の超微粒子化に着手、グラビアなど商業印刷で使用する顔料インクの10分
の1以下の色材超微粒子を作り出した。さらに水分に混ざりやすくするため、超微粒子化した色材粒子の1粒1粒に高密度化透明樹脂をコーティングした。
これによりインクに含まれている水分のなかに色材が均一に混じり合うようになり、乾いてもはがれ落ちることもなく、色の再現性も飛躍的に高めるとともに
表面の凸凹をなくすことに役立っている。この高密度化透明樹脂だけの粒子が「第8番目のインク」と呼ばれるグロスオプティマイザだ。
このグロスオプティマイザは、超微細な樹脂の粒子なので自分自身の色はない。しかし、インクとインクのわずかなすき間や白色の部分など、従来インクがほ
とんど塗られていなかった部分を埋めることで、印刷面の凸凹をなくし、光の乱反射をおさえて美しい光沢感を作り出す。さらに色材をしっかり定着させる効果
もあるため、普通紙でも光沢紙でもくっきりプリントできるようになった。
グロスオプティマイザ(イメージ図)
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今までの顔料インク |
PX−Gインク |
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《新色追加の理由》
開発陣が、用紙の表面の凸凹をなくし、高い光沢と美しい発色を実現するための工夫がもう一つある。それは、新しくレッドとブルーの2色を追加したこと
だ。
これにより「つよインク」は、既存のマットブラック、フォトブラック、イエロー、マゼンダ、シアンの5色に加え、新色のレッド、ブルー、さらに「第8番
目の色」であるグロスオプティマイザの合計8色となった。
レッドとブルーを新たに加えた理由はなんだろうか。
もともとすべての色は、3原色といわれるイエロー、マゼンダ、シアンの3色の複雑な混ぜ合わせで作られている。印刷の場合、これに黒を加えた4色が基本
色となる。ただ、3原色で微妙な色の表現をするには、色の混ぜ合わせも複雑になる。超微粒子の色材とはいえ、塗り重ねることでインクの厚みは、1色よりも
2色、2色よりも3色と増していく。その結果、印刷面に微妙な凹凸ができ、高い光沢を得にくくなってしまう。このため3原色だけでなく、使用頻度の高い色
を追加すると、塗り重ねの色数を少なくなるため印刷面に凸凹ができにくい。これがレッドとブルーを追加した理由だ。
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カラー写真はもちろん、モノクロ写真にも、プロのクオリティを実現。7色目のグレーイン
クがモノクロ階調なめらかに美しく表現。深みのある立体的な奥行き感、光と影の明暗描写など、表現の幅を広げた。
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顔料インクは、染料インクに比べ、水に強いが光沢性や発色性に劣るといわれてきた。「つよインク」の顔料インクでは、グロスオプティマイザの開発および
新色のインクを追加することで、高い光沢と美しい発色を実現、写真高画質を作り出すことに成功したのだ。
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